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Ⅰ.電解鉄(高純度鉄)の4つの特徴
1.99.95~99.999%の高純度
当社の独自製法でつくられた高純度の電解鉄は世界トップの品質・シェアを誇り、その純度はガス成分(O,N,H)を含めた上で、量産品の99.95(3N5)~99.999%(5Nグレード)を達成しています。 電解鉄は、不純物が極めて少ないため溶解し易く、溶解歩留りの向上が図られ、特に真空溶解には最適です。さらに、溶製されたインゴット中には、非金属介在物が生成しにくく、強度等の良好な機械特性が得られます。 また、さまざまな分野における研究用材料として、単純に、不純物による不確定要因を取り除くという目的で使用されています。特に、鉄鋼や特殊鋼、超合金の分野において、新製品開発には欠かせないものとなっております。
電解鉄の化学分析値(代表値)
純度(%) | C | P | S | Si | Mn | Cu | O | H | N | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
マイロンSHP | 99.99 | 5~15 | 1 | 1~3 | <5 | 1 | 1 | 10 | 1~3 | <5 |
マイロン1S | 99.95 | 15 | 7 | 7 | <5 | 1 | 2 | 80 | 3 | 5 |
アトミロンFP | 99.95 | 15 | 8 | 1 | <5 | 1 | 7 | 70 | - | 8 |
アトミロンMP | 99.95 | 20 | 5 | 8 | <5 | 1 | 1 | 100 | - | 5 |
※純度以外の数値はppmです。
2.軟らかい
不純物の原子が少なく、転位が動きやすいため、軟らかく、展延性に富みます。したがって、加工性が良好で、その特性は、電解鉄を使用した合金にも引き継がれます。
3.耐食性
高純度鉄は、純度が低い鉄に比べ、表面に薄くて緻密な酸化被膜を形成し、一般に錆びにくいと言われております。
4.良好な磁気特性
鉄は数少ない強磁性体であり、中でも高純度鉄は良好な磁気特性を持ちます。不純物が少ないため、磁壁の移動が容易と言われています。 よって、下図のようなB-H曲線を示し、純度が高いほど保磁力が小さく、透磁率が高い、すなわち良好な軟磁性材料と言えます。 また、磁気記録薄膜など、硬磁性材料にも使用されており、不純物の影響を極力低減し、材料の特性向上に貢献しています。
5N電解鉄(マイロンUHP)の磁気特性電着→焼鈍800℃材
2N純鉄の磁気特性(他社品)の磁気特性圧延→焼鈍800℃材
その他
Fe原子の結晶格子内をC原子などが拡散する速度が大きく、再結晶温度が低い。
Ⅱ.電解鉄の用途における3つの特徴
鉄は純度を高めることにより、優れた特性を現します。その応用製品の特徴は疲労強度・耐衝撃性・耐熱性・耐食性・磁気特性等、多岐にわたります。 br> 電解鉄は、研究開発や特殊合金用として国内外の主要鉄鋼メーカー、特殊鋼メーカーから大学の研究機関に至るまで幅広く採用されています。 主たる用途として、航空機・自動車等の安全運行を支える重要部材のほか、電子部材・高機能磁石等にも使用されています。
1.疲労強度、耐衝撃性の向上
電解鉄は純度が高いため、合金中の介在物が少なく、疲労強度やクリープ強度の向上が期待されます。
用途
航空機・原子力用スーパーアロイ、各種 特殊鋼、新合金開発用ベースメタル 等
ランディングギア
トランスミッション
2.耐食性・耐熱性の向上
電解鉄は純度が高いため、合金中の介在物(ガス成分を含む)を起点とした腐食が少なく、緻密な不動態皮膜を作るため、耐食性の向上が期待される。また、耐食性が高い性質を有することで、高温域での機械的特性の向上が期待されます。
用途
ジェットエンジンのパーツ、各種 特殊鋼 等
ジェットエンジン
3.磁気特性の向上
磁性材料において、不純物は、磁壁の移動を阻害したり、また、硬磁性に対しても、飽和磁束密度を低下させるなどの影響を及ぼします。 電解鉄は、このように、軟磁性、硬磁性を含め、広く磁性材料のベースメタルとして使用されます。
用途
レアアース磁石、スパッタリングターゲット、電子部品 等
ハードディスク
チョークコイル
その他の用途として、エッチング材、触媒、試薬原料などにも多く使用されております。
その他、電解鉄を使用した高純度合金開発などの案件についてもご相談ください。